制作方法を教えます!

こんな道具で作っています!

必見!造形進化論
 
池本浩司(いけもっこ・リー) いけもっこ・リーの
そっくり人形制作方法を伝授!


人形の制作にはスカルピー粘土を
使用しています。
スカルピーは高性能プラスチック造型材です。
オーブンで焼くだけで簡単に固くなり、
耐久性・保存性にすぐれています。


・全身造形の制作工程

・塗装


・顔の制作工程


 まず何を作るか決めましょう!

自分の興味のあるジャンルがいいでしょう。私の場合は”格闘系”から入る事にしました。雑誌、ビデオ映像が主な資料ですが、ホントに好きなモデルであれば、仕草や表情まで頭の中にあると思います。 完成までの道のりは長いので、愛着が持てるモデルの選択が重要です。




 完成をイメージしよう!

モデルが決まれば次に造型の表情、ポーズなど、完成のイメージをします。イメージ無しでいきなり作り始めると後で辛くなります。 イメージを決めることで、造型の大きさ、芯の作り方も決まりスムーズいくと思います。 イメージ作りのために、ラフの絵を描いてみるのもいいかもしれませんね。





骨組みを作ろう-1-

さあ、いよいよ制作です。まずは造型の芯になる骨組みを作ります。私の場合は、2本の針金をねじった棒にアルミホイルを巻き、肉付けします。細い針金をキツく巻き付けアルミホイルを固定します。ねじり針金は”アルミホイルのズレ防止”のために使用しています。アルミホイルは、骨組みの強化、スカルピー粘土の節約ために使用しています。




骨組みを作ろう-2-

私の場合、全高17〜18pの4等身造型と規格を決めています。 全高サイズは自宅のオーブンの大きさから、これぐらいが限界です。頭部を大きくした等身は顔のディテールに凝りたという理由からです。骨組みは頭部と胴体で1、両腕2、両足2、計5つのパーツに分けています。この時からすでに造型のポーズを意識して制作しています。




人形は顔が命!

粘土をよく練り込みます。堅さはお好みですが、練りが足りないとひび割れの原因になります。

まず顔から作り始めます。人形は顔が命!納得いくまで何度も手を加えてイメージに近づけます。立体造型は色々な方向から見ながら形を整えます。私の場合、リアルに模写するのではなく、多少、ディフォルメするように心掛けています。

顔を作り終われば小休止。そこで制作を止めます。私はこの時点でかなり疲労してます(笑)。ここで止める目的は、時間を置き粘土を少し硬化させ、制作過程で顔が壊れるを回避します。また、時間を置く事で造形を冷静な目で見ることが出来るので、気に入らないところがあれば直します。 これ、以外と重要です!

手・足のパーツの制作

手足の制作は造型のポーズを決める大事な作業なので気は抜けません。筋肉の起伏は胴体と合体した後で調整するので、この時点では作り込みはしません。

ここでも粘土を少し硬化させるために制作を止め時間を置きます。





パーツの合体

いよいよ、人間の形になります。まず胴体と足を接合、柔らかく練ったスカルピーを盛りながら固定します。

2足で立つバランスを確認、その後、腕の接合をおこないます。筋肉の起伏の制作をおこないつつ、ポーズとプロポーションを整えます。私の場合、全てのパーツを接合してから焼いていますが、パーツ別に焼く方法もあります。



ディテールアップ

服装・小物品等のディテールアップをして作り込みます。これで造型は完成します。 (髪、靴ひもなど細やかなパーツは一度オーブンで焼き、硬化させた後に作ります。)







表面を滑らかにする

オーブンで焼く前に表面を滑らかにします。シンナー(アルコール類)を筆に含ませ表面をなでつければきめの細かい仕上がりになります。

小さなキズや指紋は焼いた後に目立ちます。また硬化した後の修正はしづらいので丁寧な作業が必要です。



トレイに置く

オーブンのトレイにアルミホイルを重ねて敷き、造型を置きます。置いた接地面の粘土は多少つぶれます。

(この写真では背中側) この場合、後から粘土を盛り、形を整えて、背中側を焼きます。





オーブンで焼く

オーブンの温度設定で約135度で10〜20分焼くと説明書にありますが、私の場合、温度調節付オーブンを所有していないので余熱を利用して焼きます。オーブンを5分間空焚きした余熱で焼く方法で4〜5回繰り返せば完全に硬化します。

(作品の大きさで異なります) 少量のスカルピーを生け贄にして試し焼きしてみるのも良いかもしれません。私は焼き回数(時間)と硬化度の関係を感覚で覚えました。


【注意】常温に冷めるまで待ちましょう。さわると熱いし、温かいスカルピーは壊れやすいです。

造型の完成

長い制作過程を経て造形の完成です。
達成感の余韻を楽しむ一時を迎えました。
頭で考えた通りの造形ができました。
この後は塗装ですが、私の場合、この状態で
しばらく眺めていますね。
ナルナルなのです。いけもっこ・リーは…。













塗装で粘土に魂注入!

さあ、いよいよ仕上げの塗装です。

塗料はお好みなので特にお薦めはありません。瞳の塗装は神経を集中させて…、塗ってるときは息止めてますね、たぶん。魂を注入する瞬間っすね。なかなか良い造形のつもりでも塗装すると似てなかったり、その逆もあります。

多分、"瞳"の良し悪しが顔全体のイメージを決定してるんだろう思う。

ディテールの描き込み

細かなディテールがあればさらにそれっぽくなります。
肌はスカルピーの生地色のままですが、陰影をつけるために影の落ちる場所、顎の下やヘソなども塗装しています。

私の場合はアクリル絵具を使用しています。




つや消し/つや出し

「つや出し」「つや消し」を塗っていきます。

「つや出し」で瞳をキラキラ、口を湿っぽくします。皮やナイロン素材(リングシューズやOFグローブなど)は「つや出し」、布地は「つや消し」と素材によって塗り分けます 。





完 成!

やったー!ついに完成(^^)

制作期間はだいたい一日平均3時間で一週間ぐらいかな。まだまだ未熟ですがそれっぽくなったと思う。

スカルピー粘土での造形を主に制作していますが、他の粘土素材にもトライしていたいと考えています。











おまけで秘伝の顔の制作方法を解説しちゃう!
最初は顔の中心の鼻から!

いけもっこ・リー流『顔の作り方』をご紹介します。 スカルピー粘土の場合、基本的に”粘土を盛って形を整えていく”を繰り返していきます。私はいつも最初に顔の真中の”鼻”から形を作っていきます。 写真のように適量の粘土を鼻の元として顔の中央に乗せて粘土ベラで形を鼻の形にしていきます。
鼻の大きさは千差万別!

鼻の形になってきました。 大きい鼻、小さい鼻、高い鼻、低い鼻。顔の真中にある鼻は個性を出す重要なパーツです。鼻を基本に口や目の位置を決める理由から鼻から制作しています。


鼻をトコトン作り込め!

鼻の穴など細かなディテールも作りこみます。
鼻の形が整ったら次は”口”です。




次は口を作ろう!

口を作るために適量の粘土を盛ります。実際にご自分の口を触ってみてください。口の肉は盛り上がっています。造型も同じく、まずも盛り上がりをラフに作ります。


モリモリ盛りあげる!

粘土ヘラでなだらかな口の盛り上がりを作ります。




口は表情を出す重要パーツ!

口の溝(ライン)を鋭角なもので描くように入れます。口は表情をあらわす重要なパーツです。写真は微笑みの口です。鼻の下の長〜いワシや逆に短い人、口の大きさもこの描いたラインが基本になります 。重要です!


KISSしたくなるような丸みを!

ラインより上を上唇、下を下唇として丸みを出すように形を整えます。

粘土が足りない場合は追加して形を整えていきます。正面からだけでなく横から造型を確認しながら立体的な口を制作します。次は”顔全体”の制作です。

目の位置を決めよう!

目の位置を決めるために目の辺りにくぼみを作ります。
くぼみが深いと彫りの深い白人顔になり、逆に浅いと東洋人っぽくなります。



頬を作れば顔に凹凸が出来る!

目のくぼみが決まると、今度は頬に粘土を盛り形成を整えて行きます。写真で適量の粘土を頬の位置に盛っているのが判ります。



表情をつくる筋肉を意識して!

鼻・口それぞれがパーツとして良くて出来ているだけでも十分ですが、よりモデルに似せる、表情を豊かにするには鼻・頬・口が繋がっている事を意識して形成を整えましょう。口の表情によって頬の肉付きが変化すること考えながら作りましょう。表情を出す筋肉を意識しましょう。いろんな角度から観ながら形を整えましょう。目がない状態でも、モデルに似ている状態がベストです。次は”目”の制作です。
目で殺す!

人形で一番大切な”目”の制作です。

適量の粘土を目の位置に盛ります。ヘラで綺麗な半球を作ります。これが眼球になります。目の位置の近い人、遠い人などはこの時点で決めます。

下まぶたから!

まず下まぶたを作ります。
適量の粘土を眼球の下部分に盛ります。
薄い人、腫れぼったい人など似せるポイントでもあります。


目の表情を意識して!

目の特徴、たれ目・狐目・下まぶたの厚い・薄いや表情、カッと見開いた目・微笑んだ目など どんな目にするかイメージしながらヘラで形を整えます。



最後に上まぶた。もうすぐフィニッシュ!

次は上まぶたです。
下まぶたを同じ手順で適量の粘土を盛ります。




目の形を整えろ!

ヘラで形を整えて目の完成です。
うまくいかない場合は、目をえぐり取りくぼみの状態まで戻って作り直します。

人と会う時は相手の目を見ます。緊張してたら逆に目を合わすことも出来ない。目には人を引きつけるパワーがあります。人形でも同じ。造形人形を見る時、無意識に目をみていませんか?顔を見て全体に意識がいく。目はそれほど重要なものです。私は納得がいくまで何度でも作り直します。なかなか難しいですけどね。

いろんな方向から見て最終調整で完成!

いろんな方向から見て顔全体の形の微調整をおこないます。
おでこに粘土をもったり、シワを入れたり、目を二重にしたりなど細かなディテールの制作が出来たら顔の完成です。 最初にも書きましたがスカルピー粘土は盛って形を整えていく粘土ですので、いけもっこ・リーはこの手順が今のところベストな制作方法です。

※髪や耳などの制作は省略しています。



2008年最新作の制作ドキュメントです。